霧と靄の違いとは

皆さんは、うっすらと視界をさえぎる薄白い「何か」のことをなんと呼ぶでしょうか。
霧(きり)でしょうか、それとも靄(もや)でしょうか。あるいは、霞(かすみ)や朧(おぼろ)と呼ぶこともあるかもしれません。
今回は、そのひとつひとつの違いについて紹介したいと思います。
まず、霧と靄は両方ともに気象用語であり、空気中に浮かんだ微小の水滴によって起こる現象です。
この霧と靄の違いは、「ものが見える距離」によって変わります。
霧(きり) ・・・ ものの形がわかる距離が一キロメートル未満だと霧。秋の季語。
靄(もや) ・・・ 一キロ以上遠くのものまで見えるようだと靄。靄は、「冬靄」のみが冬の季語。

要するに、近くもあまり見えないような濃いものは霧と言い、遠くまで見えるうっすらとしたものは靄と言います。
これが霧と靄の違いです。
霞と朧の違いとは
一方、霞(かすみ)と朧(おぼろ)は、気象用語として特に定義づけはありません。
霞と朧の違いは、現れる時間帯によって変わります。
霞 ・・・ 日中に現れるものを「霞」と言います。季語は春。
朧 ・・・夜間に現れるものを「朧」と言います。季語は春。
日中が霞で、夜間が朧となります(朧月夜という言葉もありますね)。
霞と朧の両方とも、春の季語となっています。
春霞という言葉もあるように、古くから春は視界がかすむことが多かったようですが、原因としては黄砂もあったようです。
黄砂とは、東アジアの砂漠地帯から偏西風によって舞い上がって届いた微粒子のこと。
月がうっすらと霞む「朧月夜」なども黄砂の影響が強かったのではないか、という風に言われています。